日语考试灰谷健次郎名家阅读2
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ぼくは心がずんとした
小谷先生は黒板に「なに?」とかいた。
「きょうのつづり方の題は『なに?』です」
「なにいうてなんや」
と、勝一が大きな声でたずねた。
「なにいうてなんやわからへんから、なにです」
と、小谷先生がまじめな顔をしていったので、みんな大笑いした。
きょうは小谷学級の研究授業の日である。うしろに大ぜいの先生が立っている。小谷先生は学校の先生になってはじめて自分の授業を人にみてもらうのだ。だから緊張してこちこちになっている。足立先生のようにきらくにはやれない。
「みなさんの原稿用紙に、『なに?』とかいてください。それから、小谷先生は大きな荷物をさげてきました、とかいてください。みんなが同じことをかくのはそれだけです。後はそれぞれ勝手にかいてください。思ったとおりにかいてちょうだいね」
小谷先生はそういって、いちど廊下に出た。そうして、一メートル四方もあろうかと思われる白い布につつんだ大きな荷物を重そうにさげて、ふたたび教室にはいってきた。
「うわあ、おおきいなァ」
子どもたちは口ぐちにいった。
「大きいでしょう。さあ、なんでしょう」
「テレビ」と、勝一がさけんだ。
「ストーブや」
「せんぷうき」
子どもたちはいろいろなことをいっている。
「それじゃみんなの思ったとおりかきなさい。なぜ、そう思ったかというわけもかいておくといいつづり方になりますよ」
みんないっしょうけんめいかいている。鉄三だけはその箱をじっとにらんでいた。
「じゃ淳一くん、あなたのかいたのを読んでください。はじめからね」
淳一は立ちあがった。
「——『こたにせんせいはおおきなにもつをさげてきました。ぼくはなんやろかなとおもいました。みんな、テレビやとかストーブやとかいろいろいっています。ぼくはテレビかもしれんとおもうけど、あんまりはやくいってまちがったらそんをするから、わからんとかきました』……」
うしろで立ってみていた先生たちは思わず笑った。淳一らしい文章だと小谷先生も思った。
「それじゃ、この白い布をとりますよ」
白い布をとると、中からカラーテレビのダンボールが出てきた。
「やっぱりテレビ、ぼくのいうたとおり」
勝一がよろこんでいる。
「はい、つづけてかいてください」
しばらくして、小谷先生は、こんどは勝一を指名した。
「勝一くん、いまのところだけ読んでね」
「——『やっぱりテレビや。ぼくははじめにあてた。ぼくはとくいです。ぼくはじまんしたいきもちです』……」
淳一が首をかしげている。鉄三はあいかわらずじっと箱をみつめていた。
「じゃ、つぎ、いきます」
小谷先生はテレビの箱をやぶいた。するともう一つの箱が出てきた。その箱には夏みかんの絵が印刷されてあった。子どもたちはざわめき、うしろの先生たちは笑った。
子どもたちは、またエンピツを走らせた。
「テレビとはちがったようですから、勝一くんはどうかいたかナ。つづけて読んでちょうだい」
勝一は立って読んだ。
「——『せんせいはわるい、せんせいはぼくをうらぎった』……」
うしろの先生たちは大笑いだ。折橋先生は涙をこぼして笑っている。
「ごめんね。勝一くん。こんどあててね」
小谷先生は勝一のところにいって頭をなでた。
「箱の中を見てください」
小谷先生は箱のふたの部分をやぶいて子どもたちに中を見せた。新聞紙をくしゃくしゃにしてつめてある。夏みかんを一つ一つ新聞紙にくるんでつめてあるようにも見える。
「みんなだまされたらあかんでえ」淳一が大きな声でいった。
「ほんとよ、だまされたらダメよ。よく考えてかいてね」
どの子どもたちもしんけんだ。よそみをする子どもはひとりもいない。
このクラスもかわったな、とうしろで見ていた足立先生は思った。
「はい、こんどは道子ちゃん読んでください」
「はい。『わたしはりんごだとおもいました。まるいものがしんぶんしにつつんであるからりんごだとおもいました。なぜ、なつみかんじゃないかといったら、せんせいのめをみていると、せんせいがうそをついていることがわかるからです』……」
小谷先生は新聞紙をとった。新聞紙はただ丸めてあるだけだった。なつみかんの箱の中から、デコレーションケーキの箱が四つ出てきた。また子どもたちがざわめいた。
「ケーキか、せんせい」
「さあ」と、小谷先生はいった。
「みんなおなじものがはいっているの、せんせい」
照江がたずねたので、小谷先生はそうだとこたえた。
「先生ちょっとずるいわね。見るだけで中のものをあてさせるんだものね。先生、反省しました。こんどは音をきかせてあげます。どんな音がするかよくきいていてね」
そういって小谷先生は箱をふった。がさがさという音がした。四つの箱はみな同じような音がした。
「わかった」とたけしがいった。
「わかった」
「わかった」
あちこちで声がした。
「そんなにかんたんに、わかったの」
「ぜったい、あれや」と、たけしは胸をはってこたえた。
「じゃ、かいてちょうだい」
いわれるよりはやく、エンピツをもっている子どもがいる。小谷先生はうまい授業を考えたものだ。こういうちょうしで文をかかせていけば、知らぬまにたくさんかいていくことだろう。そのときそのとき、心ははりつめているのだから、よい文がかけるにちがいない。
以上就是灰谷健次郎的故事,是不是很有趣呢?日语学习应该是循序渐进的,所以大家应该多多积累知识,如果还想了解更多名家的故事,那就持续关注坦途网日语考试频道吧,小编会一直为大家分享有趣的事情。
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