日语

日语日语学习阅读文章

《消えた男の日記》选段分享3

2018年09月29日 09:50:08来源:日语考试网
导读:日本文学在世界范围内具有重要地位,日语考试阅读中,时而会涉及到这样的内容,所以大家可以平时就多读一些这样的文章,一是能够提升考试成绩,二是可以培养自己的文学素养,让自己对于日语也更感兴趣。

>>日语考试:《消えた男の日記》选段分享

>>日语全日制签约课程

下面是为你整理的内容。

爆 発

ヘリコプターの音は、入江たちの方へと近付いて来ているようだった。

このままでは、丸見えだろう。

「どこかへ隠れよう」

と、入江が言った。

「でも、どこへ?」

と、大内が左右を見回す。

どちら側も、地蔵の並ぶ急な斜面だ。

「上るしかありませんわ」

と、依子が言った。「大内さん!」

「うん」

「係長を押してあげて」

「分った。じゃ、警部——」

「こら! 自分で上れる! 馬鹿にするな!」

と、入江はムッとしたように言って、「ついて来られなくても知らんぞ!」

一気に斜面をかけ上る。依子と大内も、あわてて入江の後を追った。

見ろ、この足の若さを! 入江は調子に乗って、斜面を半分以上も駆け上ったが、そこからは急に足も重くなって、よろけてしまった。大内があわてて入江の背中を支えて、

「大丈夫ですか!」

「当り前だ、放っといてくれ!」

と、わめいたものの、大内と依子が構わずにぐいぐいと入江を押し上げる。

何とか間に合った!——斜面を上り切った木立ちの間に三人が転がり込むと、谷の上、かなり低空をヘリコプターが一機、轟《ごう》音《おん》と共に駆け抜けて行った。

三人はしばらく激しく息をして、言葉も出なかった。——大内が汗を拭《ぬぐ》って、

「どこへ向ってるんだろう、あのヘリは」

と、言った。

「たぶんあの子のいる家だわ」

と、依子が言った。「こうしちゃいられない。急がないと」

「そうだな。警部、ここで休んでて下さい」

「何を言うか!」

入江も、立ち上って怒鳴るだけの余裕が出て来た。

「お前たちだけじゃ、頼りなくてやれるか」

「じゃ、急ぎましょう」

と、依子が促し、また斜面を駆け下り始めた。

急な斜面を下りるのは、むしろ上る以上に難しかった。失礼(?)など気にせずに、途中の地蔵につかまり、バランスを取りながら、やっと三人は下の道に下りた。

「こっちです」

依子が先に立って、三人は肩で息をつきながら、道を急いだ。

方向感覚のいい依子でなかったら、林の中の道を、あの笠矢祥子のいる家まで辿《たど》ることは難しかったろう。

「もう少しです」

「ヘリの音が聞こえないな」

と、大内が言った。「関係なかったのかな?」

「でも、こんな山の中に何の用事だ?」

と、入江は言った。「たぶん、様子を見ているんだ、周辺の」

入江の言葉が正しかったことは、すぐにあの音が頭上に近付いて来たことで、証明された。今度は隠れる場所を見付けるのに苦労はしなかった。

「——何をするつもりなんでしょう?」

と、依子は言った。

「分らんな。この辺に、ヘリが下りられるような広い場所があるのか?」

「分りません。ここへあの子たちが連れられて来た時は、大分遠くに下りたはずです」

「そうだったな」

と、入江は依子の話を思い出して、肯《うなず》いた。「——行ったか」

ヘリコプターの音は、遠ざかって行った。

「でも、警部、ヘリは、空中に静止できますよ。下りる場所がなくても」

「それぐらい知っとる」

と、入江はぶっきらぼうに言った。

気に入らない。——あんな女の子一人を、どうしようというのだろう?

「ともかく、行こう。ここまで来たんだからな」

三人は、足を早めた。

「もう少しです」

と、依子が言った。

「こりゃ凄い」

その家を目の前にして、大内がヒューッと口笛を鳴らした。

「こりゃ大したもんだ。山小屋みたいなもんかと思ったが」

入江は足を止めたので、汗がふき出て来て、ハンカチで顔を拭った。「例の娘はいるかな?」

「どうでしょう。当然あのヘリの音を聞いてるでしょうし」

と、依子が足を踏み出そうとした時、突然ヘリコプターの爆音が迫って来た。

「隠れろ!」

と、入江が依子の腕をつかむ。「畜生! どこにいたんだ!」

三人は、林の中へ飛び込んで、転がるように身を伏せた。

しかし、ヘリコプターは、入江たちを見付けて近付いて来たのではないようだった。

笠矢祥子の家の真上に、ヘリコプターが静止した。

三人のいる所まで、ローターの巻き起こす風が吹き付けて来る。

「下りて来るつもりかな」

と、入江が言った。

依子がそっと顔を木々の間から覗《のぞ》かせて、

「いえ、人が出て来る様子はありませんけど……。ヘリの窓が開いてます。——何か投げ落としたわ」

「何を?」

「分りません。箱みたいな物です。——ヘリが上昇して行きます」

爆音は急速に頭上高く、離れて行った。

「別に何も——」

と、覗いていた依子が言いかけた時だった。

一瞬、空気が裂けた。風圧と激しい爆発音で、三人は本当に体を殴りつけられるショックを感じた。

入江は反射的に頭をかかえ、地面に小さくなった。森の中へ、布や木ぎれやガラスや、あらゆる破片が飛び込んで来て、木々の幹に当って、さらに砕ける。

耳がジーンと鳴って、何も聞こえない。

——少し間を置いて、バラバラと小石とも土とも知れないものが降って来た。入江は何か叫んだが、自分でもよく分っていなかった。

たぶん、

「頭を上げずにじっとしてろ!」

と、怒鳴ったのだろう。

ひとしきり、落下物が降りつづけて、それが止んだ後は、沈黙が来た。こげくさい匂《にお》いがあたりに満ちて、少しむせた。

入江はそっと体を起こし、雨に濡れた犬みたいに、頭を激しく振った。バラバラと、体に降りかかっていた破片が落ちていく。

「——何だ、一体」

と、入江は呟《つぶや》いた。

「ひでえなあ……」

大内も、やっと起き上る。「何です、警部、今のは?」

「——見ろよ」

と、入江は言った。

木立ちの間から、あの家が——いや、家の残《ざん》骸《がい》が見えた。

二階建の、あのしっかりした一軒家が、完全に吹っ飛んで、跡形もない。——一階部分の隅の辺りに、やっと半分ほど壁が残っていたが、その他は、土台だけと言ってもいいほどだった。

あちこちに火が燃えていた。たぶん、プロパンのガスなども、使っていたはずだ。

「爆弾ですか」

と、大内は、やっと口を開いた。「じゃ、あの女の子は一緒に——」

「抹殺するつもりだったんだな」

と、入江は首を振った。

やっと耳が聞こえるようになっていた。

「もし中にいたら、とても助かるまい。おい——」

入江は依子の方を振り向いて、目を見開いた。「どうした!」

依子は、家を見ていたのだ。爆発の瞬間まで。

仰向けに、木立ちの間に倒れて、身動きしていなかった。大内と入江は同時に駆け寄った。

「脈は?」

入江は依子の手首を取った。

「——大丈夫。しっかりしている。気を失っただけだろう。けがはしてるか?」

「スカートが裂けてますが」

「めくって見ろ。遠慮してる場合じゃない」

太《ふと》腿《もも》に、何かガラスの破片らしいものが突き刺さっていたが、簡単に抜けた。血は出たが、そう深い傷ではないらしい。

「耳が心配だな。鼓膜をやられたかもしれん」

と、入江は言った。「ともかく医者へ連れて行かないと……」

「僕が背負います。乗せて下さい」

「よし」

入江が、かかえ上げると、依子が低い呻《うめ》き声を上げて、大きく呼吸した。

目が開く。——早い瞬きをくり返している。

「気が付いたか」

「係長……。大内さんは?」

「ここだよ」

「良かった! 二人とも大丈夫ですか?」

「ああ。君もかなり傷だらけだ。ひどい目に遭ったな。医者へ連れて行こう」

「いえ……。あの子は?」

「さあな。家があのありさまじゃ」

と、入江が、爆破された家の方を見やる。

「家はどうなったんです?」

と、依子が訊《き》いた。

「どうって——」

入江は息をのんだ。依子の目は開いているが、何も見ていない!

「どうした? 見えないのか?」

「今……夜ですか?」

入江と大内は顔を見合わせた。

「明るいんですね、まだ」

と、依子が言った。

少し声が震えている。

「爆発をまともに見てしまったからですわ、きっと。——何も見えません」

「何てことだ!」

入江は思わず目を閉じた。「——すまん! 俺《おれ》がついていながら」

「いや、警部、きっと一時的なもんですよ、ショックで。大丈夫! 見えるようになりますよ!」

大内がほとんど怒鳴るような声で言った。入江も、何とか気を取り直すと、

「そうだな、別に目が傷ついてるわけでもない。——ともかく医者だ」

「ええ。僕がおぶって行く」

大内が、背中に依子をのせると、

「悪いわね、重くて」

「何言ってるんだ。君なんか風で吹き飛ばされないようにおもしでも置いとかなきゃ」

「まあひどい」

と、依子は少し笑った。

「よし、急いで戻ろう」

三人は、来た道を戻って行った。

地蔵の谷へ出て、谷間の道を歩いていると、依子が、

「待って」

と、言った。

「どうした? どこか痛むのかい?」

「いいえ。——係長」

「何だ?」

「医者はだめです」

「どうして?」

「こんな状態で医者へ行って、どうしたのか説明できます?」

入江は詰った。——確かに、あの爆発を目の前で見たことを話さなくてはなるまい。

「旅館へ戻りましょう」

と、依子は言った。「お二人とも、ひどい格好でしょ? 何とか普通のなりに見える程度にきれいにして。私一人が、どこかから落ちたことにでもしないと」

「しかし……」

「考えて下さい。あの子はたぶん殺されたんです。咲江さんも命を狙《ねら》われたんですよ。私たちが、あの爆発を見たことが知れたら、きっと私たちも殺されます」

大内は入江を見た。入江としても、依子の言葉が正しいことは分っている。

「だが、君の目が——」

「水で冷やしてもらえば大丈夫です。傷ついてるわけじゃないんですから、医者へ行っても同じです」

入江は、少し考えていたが、

「いや、君を医者にもかけずに放っとくわけにはいかん」

と、首を振った。

「そうさ。なあに、僕たちなら、そう簡単に殺されやしないよ」

「いや、用心には用心だ。ここは何とかうまく切り抜けよう。まず、あの町を出ることだ」

「でも係長……。突然そんなことを——」

「まあ、任せろ」

と、入江は言った。「年の功だ。少しは俺だって頭が回ることがある」

そして、大内の方へ、

「この大内の色気が頼りだな」

と言った。

大内はキョトンとして、入江を見つめていた。

「突然のことで申し訳ありません」

と、入江は言った。

「いやいや、こちらこそ、お世話になりながら、お礼をする機会もなくて」

署長の水島は、いやに愛想が良かった。「まあ、こんな所ですから、特にご挨《あい》拶《さつ》しませんので、柴田さんによろしくお伝え下さい」

「ありがとうございます。じゃ、車を拝借して行きます」

「ええ、どうぞ。ご便利のいい所で、近くの署へお返し下さい」

入江は、立ち上った。——もう外は大分暗くなっている。

「では失礼します」

と、入江はもう一度頭を下げて、署を出た。

軽く息をつく。——表に停った車に、乗り込む。助手席に乗って、

「よし、出かけよう」

と、ハンドルを握る大内に言った。

「はい」

車が走り出す。

柴田依子は後ろの席で、ハンカチを顔に押し当てて、涙をこらえている。——父親が事故に遭って重体という連絡が旅館に入ったのである。

「町を出るまで、そのままで」

と、入江が言うと、依子が、

「はい」

と、答えた。

いや、依子ではない。あの、郵便局をクビになった木下敦子なのである。

敦子が、東京から、と言って旅館に電話を入れ、こうして依子の身替りをつとめているのだ。

車はたちまち町を出て、山道へ入った。

「よし、停めろ」

と、入江は言った。「——おい、もう大丈夫だ」

後部座席の床に毛布にくるまって、身を縮めていた依子が、敦子に助けられて、起き上った。

「ありがとう……。迷惑かけたわね」

依子が座席に座ると、言った。

「いいえ。こんなこと、お安いご用です」

と、敦子は言った。「どうですか、気分は?」

「ええ。目の辺りの熱が、大分さめたみたいだわ」

依子は、冷たく濡らした布を目に当てていた。

「ともかく、大きな病院へ急いで行くんだ」

と、入江は言ってから、「敦子君。君、すまんが、ここから歩いて戻ってくれるか?」

「戻らなきゃいけませんか」

敦子の言葉に、入江は面喰らって、

「しかし……」

「私、身よりってないんです。今いるのも、おばさんの所で、邪魔にされてるし。よかったら、連れてって下さい」

入江は大内の顔を見て、

「そういうことになってたのか?」

と、訊《き》いた。

「いえ、別に……」

「嘘《うそ》つき!」

と、敦子がプーッとふくれて、「手伝ってくれたら、連れてってやる、って言ったじゃないの、キスしながら」

入江は苦笑いして、

「それじゃ仕方ないな。言ったことの責任は取れよ」

と、大内の肩をポンと叩《たた》いた。「よし、出発だ」

有一些人经常问日语阅读方法,其实在学习的过程中,没有很多的捷径,就算方法,也是要通过摸索和努力,找到真正适合自己的。小编所提的的,也只是一些建议,具体是否适合你,还有待于你去琢磨探索。对于小编而言,读一些经典片段和有趣文章,会让自己的学习兴趣更加浓厚,学习效率自然也会有很大提升。更多学习分享可以点击坦途网日语考试频道,我们一直为你更新。

温馨提示:因考试政策、内容不断变化与调整,坦途网提供的以上信息仅供参考,如有异议,请考生以权威部门公布的内容为准!

日语培训课程免费试听

预约免费体验课

教育顾问会第一时间安排您的体验课!

课程预约立即提交
最新文章
电话咨询在线咨询资料领取