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《消えた男の日記》选段分享1

2018年09月29日 09:42:58来源:日语考试网
导读:日本文学在世界范围内具有重要地位,日语考试阅读中,时而会涉及到这样的内容,所以大家可以平时就多读一些这样的文章,一是能够提升考试成绩,二是可以培养自己的文学素养,让自己对于日语也更感兴趣。

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下面是为你整理的内容。

妨 害

車が目的地の近くに来るまで、二人は何もしゃべらなかった。

「もう少しだと思うわ」

と、外へ目をやりながら、咲江は言った。「夜だと何だか様子が違って見えるけど」

「そうだろう? 道は間違いない?」

「ええ。この道の先。——もう少しあるかもしれないわね」

また少し、二人は黙った。

一軒のホテルの前を通る時、チラッと二人は目を見交わした。

「何だい?」

「何よ」

少しして、二人はふき出した。咲江は、

「せっかちなこと、やめてね」

と、言った。「時代遅れって言われても、納得できる形で、そうなりたいの」

「分ってる」

と、松本は肯いた。「君の意志を尊重するよ」

「あなたって——初めて口をきいた女の子と、キスするの?」

「相手次第だろ。少なくとも、今までじゃ、君が初めてだ」

「光栄でございます」

と、咲江は微笑んだ。「——あら、火事かしら?」

遠くにサイレンが聞こえた。

「後ろから来る」

松本が、車をわきへよせて、スピードを落とした。——サイレンがどんどん近付いて、アッという間に、消防車が二人の車を追い抜いて行った。変調した音が、尾を引いた。

「——また来たわ」

「一台じゃない。こりゃ本格的な火事だな」

と、松本は言った。「通行止になるかもしれないよ」

「どうする?」

二人は顔を見合わせて、肯き合った。

「見に行こう!」

まるでコーラスでもやってるみたいに、二人が同時にそう言った。

二台の消防車が、駆け抜けて行くと、松本はぐいとアクセルを踏んだ。

「——火が見えたわ」

と、咲江が言った。「燃えているんだわ、今!」

車を停めて、二人は外へ出た。

「風がある。——危いな」

と、松本が言った。「燃え広がると——」

「待って!」

「どうしたんだい?」

咲江は、消防士が駆け回っているその向うで、もう手の施しようもなく炎に包まれている家を見つめた。

「あの家だわ」

「何だって?」

「あの駄菓子屋さんよ。〈永井かね子〉の家だわ!」

「確かかい?」

「間違いない。あの電柱の看板、憶《おぼ》えてるもの」

近所の住人たちが、次々に飛び出して来て、不安げに消火活動を眺めている。

風の向きで、時折、二人の方にも強い匂《にお》いが向ってきた。

「——逃げる仕度をすればいいのに」

と、咲江は言った。

近所の人たちが、みんな寝衣にコートなどをはおったままで、ぼんやりと火事を眺めているのが、不思議だったのである。

「こんなもんさ」

と、松本は言った。「まさか自分の家には燃え移らないと思ってるんだよ」

——まさか。自分の身には。

そうなのだ。

咲江は、父の言葉を思い出していた。

「人間は、自分だけは犯罪に縁がないと思い込んでるんだ」

いつか、父はそう言っていたことがある。

「でも、大丈夫だろう」

と、松本が言った。「本当に避難の必要があったら、消防署の人間がそう言うさ」

なるほど、よく見ていると、火は次第におさまりつつあった。もちろん、あの駄菓子屋は完全に焼けてしまっているし、両隣の家も半焼してはいるが、それから先へ火がのびることはなさそうだった。

「やれやれ、だな」

と、松本は首を振った。「しかし……。こいつは偶然じゃないぜ」

「そうね」

と、咲江は肯《うなず》いた。

分っている。——今日、ここを自分が訪れたのが原因だろう。

「君が〈永井かね子〉を訪ねて行った。そして君のアルバイト先に、脅迫電話が入った。その夜、ここが焼けた」

「つながってるわね、全部」

「それに、誰か知らないが、そいつは君のバイト先まで知っていた。君の住んでいる場所も分っているとみた方がいいよ」

「怖いこと言わないで」

と、咲江は松本をにらんだ。「心配なのは、この家にいた、女の人のことよ」

「うん。焼け出されたのかな」

「すぐには分らないわよ。この火事じゃ」

松本は腕時計を見た。

「もう十二時だ。——帰るかい?」

「そうね。ここで待ってても、完全に火が消えて現場検証になるのは明日でしょうしね」

「じゃ、送るよ」

「ええ」

——松本のミニ・クーパーで、咲江はアパートまで送ってもらうことにした。

何だか、自分がとんでもない事件に巻き込まれかけているらしい、と思った。もちろん父は知らないはずだが。

——咲江を脅迫して来た人間は、もしかすると入江があの日記帳を娘に送ったことも、知っているのかもしれない。

もちろん、父のことだ、油断してはいないだろうけど。それに、大内さんや柴田さんもついているし。

今日の出来事は、父へ連絡しておく必要がある、と咲江は思った。

夜半の道で、車は快調に飛ばしている。

いつしか、咲江は助手席で眠りに落ちていた……。

——ガクッと体が揺れて、ハッと咲江は目が覚めた。

「着いたの?」

と、目をパチクリさせたが……。

車は、スピードを上げている。

「どうしたの、こんなスピードで」

「尾《つ》けられてる」

「え?」

咲江はびっくりした。バックミラーへ目をやると、かなり大型らしい車が、すぐ後ろについて来る。

「——大分前からだ。こっちが気付いたのも分ってる」

と、松本は、緊張した表情で言った。「あんなに近付いて来てるからね」

「誰かしら?」

「分らないが——ベンツだな、後ろは。このままじゃ、とても振り切れない」

「何のつもりかしら?」

「分らないな。君の住んでる所を突き止めるつもりだったら、もっと気付かれないように用心して尾けて来るだろう。ここまでくっついて来るってのは……。気に入らないな」

と、松本は首を振った。

陸橋にかかる。下を私鉄の線路が通っていた。

突然、後ろのベンツがぐんとスピードを上げて、二人の車の横へ出たと思うと、いきなりわき腹をぶつけて来た。

小型車では、とても持ちこたえられない。

手すりにぶつかり、火花が散る。

「伏せろ!」

と、松本が叫んだ。

咲江が頭をかかえて下げる。——ガリガリとボディのこすれる音。

車が大きくバウンドした。

咲江は悲鳴を上げていた。車は、宙へ飛び出したのだ——。

「咲江!」

病院中の患者が仰天して目を覚ましそうな声を上げて、川田京子が病院へ飛び込んで来た。

「京子……。静かに!」

と、咲江が手を振って見せると、

「良かった! 生きてたのね!」

と、京子はオーバーに両手を広げて、「神様! 感謝します! ラーメン」

同室の患者たちが笑い出した。

「全くもう……」

と、咲江は苦笑した。

「どっちが、全くもう、よ。人に心配かけといて!」

と、京子は両手を腰に当て、「車の事故なんて。咲江、運転できなかったんじゃないの?」

「そうよ」

「じゃ、誰の車だったの?」

「男」

「——嘘《うそ》でしょ」

「本当」

「男って……。どういう関係?」

「うん。今のところキスまで」

京子は椅《い》子《す》を引張って来て座ると、

「それなら許す!」

と、言った。

「友だちなの、それでも? けがの具合ぐらい、訊《き》いたら?」

「生きてりゃ同じよ。その内治るんでしょ」

——まあ事実、車が土手の茂みに突っ込んだ割には、咲江は打ち身とかすり傷ですんでいた。

入院の必要もなかったのだが、一応、頭の傷の影響などをチェックしてもらうために、一日だけ入ったのである。

「明日は退院よ」

「何だ。じゃ、ハンサムな医者を引っかける暇もないのね」

と、京子はがっかりした様子。「男の方は死んだの?」

「殺さないでよ。せっかく見付けた恋人を」

「どこのどいつ?」

「——あれよ!」

と、咲江が指さす。

病室へ、松本が入って来るところだった。おでこに、派手な×印に、バンソコウが貼《は》ってある。

「やあ、どう?」

「もう百メートルだって走れそうよ」

と、咲江が言った。

「良かった!」

「車はもうだめ?」

「車なんかどうでもいい。君が大けがでもしたらと思って……」

松本が、咲江の上にかがみ込んでキスしたので、京子の方が呆《あつ》気《け》に取られていたが、

「——どこかで会った?」

と、まじまじと松本の顔を見つめたのである……。

「信じられない組合せね」

と、京子は、咲江と松本を見比べて、言った。

「何度も同じこと言わないでよ」

と、咲江は苦笑して、「別にまだ恋人同士ってほどの仲じゃないんだし」

「あら。じゃ、咲江は恋人でもない男と平気でキスするわけ?」

そう訊かれて、咲江もぐっと詰る。

「そりゃあ……。でも、私の方からキスしたわけじゃないし」

とブツブツ言っている。

「ともかく!」

と、急に松本が大声を出した。

レストランの中の客が、みんなびっくりして振り向くほどの声だった。

「——君の身が心配だ。何とか手を打つ必要がある」

と、普通の声に戻って、松本が続ける。

めでたく(?)退院した咲江と松本は、京子ともども、病院の近くのレストランに入っていた。——まあ、二人で入ったあのイタリアレストランとは大分違って、こちらはファミリーレストランのチェーン店。

もう夕方になっていたので、結構店の中は混んでいた。

「手を打つ、ったって……」

と、咲江は途方にくれたように、「まさかボディガードをつけるわけにもいかないわ。大丈夫。自分の身は自分で守るわ。ずっとそうして来たんだし」

「いいかい。電車の中の痴漢とか、いたずら電話をかけて来る変態とかじゃないんだよ、相手は」

と、松本が身をのり出す。「あのベンツを見ただろう? 奴《やつ》らは、君と僕を殺すつもりだ」

「奴らって?」

「分らないさ。でも、一人や二人とは思えないね」

と、松本は言った。

「同感」

と、京子が肯《うなず》く。「ね、咲江。まだ死ぬのは早いよ」

「私だって、死にたくないわよ」

と、咲江は顔をしかめた。「だからって……」

「まず、君のアパートは、当然、知られているはずだ」

と、松本は言った。

「どうするの? 引越すの? そんなお金、どこにもないわ」

「僕のマンションに来ればいい。部屋はあるよ」

咲江は、キュッと唇を結んで、首を振った。

「だめ。そんなこと、できない」

「誤解するなよ。何も僕は君のことを——」

「それでも、だめ。あなたを信用しないわけじゃないわ。でも、私、やっぱり古いの。その決心もつかない内に、一緒に暮したりするべきじゃないと思う」

咲江は、きっぱりと言い切った。

「石頭」

と、京子が、からかう。「ね、松本君。こんな頭の固いの放っといて、私と暮さない?」

「ちょっと、京子——」

「冗談、冗談」

と、京子は笑って言った。「じゃ、こうしよう。咲江、うちのマンションおいでよ」

「京子の家? お宅、一軒家じゃなかったっけ?」

「そうよ。でもね、マンションを三つか四つ持ってて、人に貸してるの。その一つが、まだ借り手がなくて空いてるはずよ」

「そりゃいいや」

と、松本が肯いて、「奴らは、僕のことだってすぐに調べるだろう。そういう、表に住所の出ていない所が、一番身を隠すには向いてるよ」

「身を隠す、って……」

と、咲江は当惑して、「大学はどうするのよ」

「死んじまったら、大学へも行けないんだぜ。そうだろ?」

まあ、咲江としても、その松本の言葉は正しいと認めないわけにはいかなかった。

「僕は、あのラテン語の日記帳を、せっせと読む。君はこの一件が片付くまで、大学へ出て来ちゃ危いよ」

「——授業、聞きたいのに」

と、咲江がむくれると、京子がため息をついて、

「代ってあげたいわね。できるもんなら」

と、言ったのだった。

「ともかく、今は食べよう」

料理が来て、三人は食べ始めた。——咲江は、自分の身に危険が迫っていることを、頭では分っていても、何となく実感できなかった。

むしろ、自分と松本の間がこれからどうなるのか、そっちの方が、気にかかっていたのである……。

有一些人经常问日语阅读方法,其实在学习的过程中,没有很多的捷径,就算方法,也是要通过摸索和努力,找到真正适合自己的。小编所提的的,也只是一些建议,具体是否适合你,还有待于你去琢磨探索。对于小编而言,读一些经典片段和有趣文章,会让自己的学习兴趣更加浓厚,学习效率自然也会有很大提升。更多学习分享可以点击坦途网日语考试频道,我们一直为你更新。

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